No. 323, 328 アラブのプリンス ナジーム・ハメド

No.323 プリンス ナジーム・ハメド特集 Natural Born Thriller

No.328 アラブのプリンス ナジーム・ハメド特集パート2 Licensed To Thrill

 90年代初期にボクシングのセオリーを無視したかの如きボクサーが英国のリングでデビューした。「悪魔王子」、「狂気のプリンス」の異名を持ち、英国のリングを中心に旋風を巻き起こした異端児ナジーム・ハメド。トリッキーなサウスポー・スタイルからとてつもない強打を放つかと思えば、頻繁にオーソドックス型にチェンジしては相手を幻惑する。

 今回は、WBO世界フェザー級チャンピオン(当時)、スピード満点、無敵のハメドの全てがわかるビデオを2巻セットで紹介する。

 1994年5月、プロ入り12戦目で、ビンセント・ベルカストロ(イタリア)から2度のダウンを奪い、ヨーロッパ・バンタム級タイトルを奪取した。アントニオ・ピカルディ(イタリア)を3Rにストップして初防衛後、階級を上げ、1994年10月、タフなフレディ・クルス(ドミニカ)を一方的に打ちまくって6RTKO勝ちでWBCインターナショナル・S.バンタム級王座に就く。ここからが、ハメドの驚愕のパフォーマンスに拍車が掛かってくるのだった。

 初防衛戦でロウレアノ・ラミレス(ドミニカ→スペイン)との無敗対決を行った。IBFインターコンチネンタル・バンタム級王者でもあるサウスポーのラミレスは、18戦17勝(6KO)1分という戦績でハメドへ挑戦した。ラミレスは、初回からガードを上げて右を突いて王者に迫る。これに対しハメドは、柔らかな上体の動きでサークリングしながら、右リード、左ストレートを的確に決めて行く。迎えた3R、ハメドは、ラミレスの出てくるところに右ストレートをヒットさせ、コーナーに詰めての連打で、相手の戦意を削ぐ。たまらず背を向けたラミレスに、レフェリーは試合再開を命じる。再開後、ハメドは、相手のパンチをダッキングして外して右をカウンターで返すと、ラミレスは棒が倒れるようにダウン。右ブローの決定力を見せ付けた痛烈なKO劇だった。

 2度目の防衛戦は、日本のリングにも登場したアルマンド・カストロ(メキシコ)を迎えての戦いだった。この試合でも随所に右ブローを決めてカストロをダウンさせ、4Rストップ勝ちを収める。3度目の防衛戦では、ダウン知らずのセルヒオ・リエンド(アルゼンチン)を1Rに右アッパーでグラつかせて、2Rにはオーソドックスにチェンジして左フックで倒した。ふらつきながら立ち上がったリエンドに、飛び込むように放った強烈な左ブローで後方に吹き飛ばして再度ダウンを奪った。ピクリとも動かないリエンドを尻目に誇らしげに観衆に応えるハメド。戦慄のKO劇だった。4度目の防衛戦は、エンリケ・アンヘルス(メキシコ)を2Rにフェイントからの右フックで腰を落とさせ、すかさず左をフォローして薙ぎ倒した。5度目の防衛戦では、元IBF世界王者のファン・ポロ・ペレス(コロンビア)を問題とせず、2Rに左ストレートで10カウントを聞かせた。

 1995年9月、遂にハメドはWBO世界フェザー級王座へ挑戦する。相手は、同王座7度防衛中のスティーブ・ロビンソン(英国)だ。ハメドは、初挑戦の意識など微塵も感じさせないパフォーマンスで、ロビンソンから5、8Rにダウンを奪っての8RKO勝ちで無敗のまま世界王座に駆け上った。

 初防衛戦で披露した速攻は圧巻だった!WBCインターナショナル・フェザー級王座を保持していたサイド・ラワル(ナイジェリア)は、19戦17勝(7KO)1敗1分という戦績。開始早々、両者がリング中央で近付いた瞬間、ハメドの放った右フックがラワルの顎を捉えた。たまらず崩れ落ちたラワルは、辛うじて立ち上がったものの、足元がフラつきダメージは明らかだ。ハメドは、立ち上がってきたところにまたも右でロープに詰まらせ、フィニッシュは右アッパー。ロープ伝いにうつ伏せに倒れたラワルを見たレフェリーが試合をストップ。初回僅か35秒!ラワルは、初めての世界戦に身体が温まらないうちに仕留められてしまった。なんと、この試合でハメドの放ったまともなパンチは右ブロー3発という、実に効率的な仕事をやってのけた。

 ダニエル・アリセア(プエルトリコ)を相手に行った2度目の世界王座防衛戦は、ダウン応酬のスリリングなものとなった。1R、アリセアは、ガードを固めて前進。ハメドは左にサークリングしながらアリセアのパンチをスウェーでかわす。ハメドは、右アッパーから左ストレートで攻撃するが、スウェーした際の左ガードの低さを突かれて、アリセアの右フックからの右ストレートを浴びてダウンを喫した。しかし、2Rには反撃に出て、右ジャブでアリセアのガードを崩しに掛かる。まるで触手のような働きをするかのようなハメドのリードブローだ。ハメドは、オーソドックスにチェンジしてオーバーハンドの右フックでダウンを奪い返した。アリセアのダメージは明らかで、辛くも立ち上がったが、ハメドの左から右ボディ、左右左の連打でアリセアが仰向けに倒れたところでレフェリー・ストップがかかった。

 ハメドのアマチュア時代を含め、デビュー間もない頃のファイトから歴戦の兵マヌエル・メディナ(メキシコ)とのWBO世界王座3度目の防衛戦までを網羅したハメド特集ビデオ2巻の収録内容は以下の通りである。まさに「狂気のプリンス」旋風が吹き荒れたことを堪能できる必見のセットだ!

(RJ社友 末永慶寛)

No.323 プリンス ナジーム・ハメド特集 Natural Born Thriller

<収録内容>

1. TKO4R ピーター・バックリー
2. KO1R ジョン・ミセリ
3. 判定12R ビンセンツォ・ベルカストロ(ヨーロッパ・バンタム級タイトル獲得)
4. TKO3R アントニオ・ピカルディ(同・防衛1)
5. TKO6R フレディ・クルス(WBCインターナショナル・Jフェザー級タイトル獲得)
6. TKO3R ロウレアノ・ラミレス(同・防衛1)
7. TKO4R アルマンド・カストロ(同・防衛2)
8. KO2R セルヒオ・リエンド(同・防衛3)
9. TKO2R エンリケ・アンヘレス(同・防衛4)
10. KO2R ファン・ポロ・ペレス(同・防衛5)

No.328 アラブのプリンス ナジーム・ハメド特集パート2 Licensed To Thrill

<収録内容>

(下記4試合以外にアマチュア時代の貴重なファイト映像もあり!必見!)

1. TKO8R スティーブ・ロビンソン(95/9/30)
 衝撃のニュースター誕生。KO負けの経験がない歴戦のチャンピオンを子供扱いにし、WBOフェザー級タイトル獲得! 無敗で世界の頂点に駆けのぼった!
2. KO1R サイド・ラワル(96/3/18)
 わずか35秒、電光石火の早業でアフリカの挑戦者を一蹴し、初防衛に成功!
3. KO2R ダニエル・アリセア(96/6/8)
 第1ラウンドに初のダウンを喫したが、2回にあっさりと逆転。不敗対決を制す。
4. TKO11R マヌエル・メディナ(96/8/31)
 ルイシトとの2試合で知られるタフなメディナと対戦。相手のパンチをまともにもらうシーンもあるが、3度のダウンを奪い棄権に追い込んだ。