No. 285, 292 コンスタンチン・チューKO集 Part1 & Part2

 現在、ベテラン、激闘男、スピードスターらの個性派が群雄割拠し、特に激戦の多いS.ライト級の統一王座に君臨するのがロシアン・スナイパー、コンスタンチン・チューである。日本でもお馴染みのユーリ、ナザロフらが展開したロシアン・ボクサーのハイパフォーマンスは記憶に新しいところであるが、時を同じくして活躍したチューは、未だに世界王座にあり、なおもその牙城を強固なものにしている。

 チューの名前が誌上で騒がれ始めた頃、ダウンアンダーの地より言い伝えられるチューのイメージはまさに「台頭」そのものだった。印象的な名前(発音が難しい)も手伝って、未だ見ぬ強豪の映像への期待は言い伝えられるパフォーマンスと共に増幅していったのではなかろうか。その期待が高まる中でRJ社はついにチューに関する映像を提供することになった! 関係者、ファンにとってもこの上なくありがたいことで、チューの剛打を見ようとビデオの発売が待ち遠しかった人も多いだろう。それも続けて世界獲得前までの2シリーズになっているのだから。

 世界選手権での輝かしい記録を残し、闘いの場を豪州に選んだチューは、1992年3月1日、ついにプロデビューを迎えた。ダレル・ハイルズ相手にチューは試合開始早々からたたみにかかる。左の速射砲の連打とシャープな右の強打に加え、強烈なプレッシャーはアマ時代からのスタイルそのままに相手を圧倒するに充分な武器となり、プロデビュー戦を1Rであっさり片付けた! この試合を含め、KO集Part1には、後のWBO世界S.ライト級王者サミー・フェンテスやラリー・ラクーシアをこれも1Rでなぎ倒す試合、そして厳しいマッチメーキングが続く中、1993年8月23日、元ライト級世界王者リビングストン・ブランブルを完封し10R判定に下した一戦までが収録されている。さらにKO集Part2では、世界戦を直前に控えた世界ランカーとの2戦が収録されており、1994年5月2日、チャベスをてこずらせたアンヘル・エルナンデス、1994年8月29日、世界4位にランクされていたペドロ・サンチェスをいずれもストップし、当時、ジェイク・ロドリゲスの保持していたIBF世界S.ライト級王座への挑戦へと駒を進めた。

 その後のチューの活躍は会員の皆様もご存知の通りでしょうが、順当に世界王座を手にしたかと思えたチューに思わぬ伏兵が待っていた。ビンス・フィリップスにまさかのストップ負けを喫し、王座を失ってしまったことが唯一の敗戦(2003年1月20日現在)として記録されている。しかし、その後の世界戦線復帰と統一王座獲得までの一連の試合を振り返ると、フィリップス戦の敗北は、チューにとって非常に有効な反省材料として作用しているように思える。R.ルエラス、A.サントス、M.A.ゴンサレス、J.C.チャベス、Z.ジュダー戦等、素早い左で崩しながらも微妙なヘッドスリップを交え、必殺の右を叩き込む技巧&力感溢れるパフォーマンスが目立っている。

 最新の防衛戦では、地元豪州でベテランのJ.J.レイハをストップし、凱旋防衛を飾っている。剛打に加え、技巧の冴えを増した統一王者は、磐石の地位を築いている。現在のS.ライト級は、魅力溢れるタレントが揃い、どの選手同士の対戦でも好試合が期待される。米国のみならず欧州、南米はブラジルなど、ワールド・ワイドにプロスペクトも育ってきており、誰がチューの牙城を攻略するか、注目の集まるところである。

 No. 285&292は、初期の豪快なチューの魅力を存分に味わえる作品として見る者を圧倒する内容になっている。

(RJ社友 末永慶寛)