この度の名誉の殿堂入りに対し数多くの皆様よりお祝いのお言葉を頂き感謝致します。
私などよりもっとボクシング界に貢献されてきた諸先輩がおられる中、私のような若輩がこのような栄誉を受け恐縮致します。
これもボクシング界の皆様のおかげと厚く御礼申し上げます。十七歳の頃より、日本人選手の活躍、日本ボクシング界の活動を英文で「リング」誌、「フラッシュ・ボクシング・アップデート」誌、「ボクシング・ダイジェスト」誌、英国「ボクシング・ニュース」誌などに寄稿してきました。私のレポートは中南米でも翻訳され、WBAなどのウェブサイトにも転載されています。
書くべき対象、すなわち、試合や話題があったからレポートを書き続け得たわけで、一重に日本でボクシング活動をされてきた皆様の御支援のおかげと深く感謝致します。日本に五十五人の世界チャンピオンが生まれましたが、私が書き始める前に引退された白井義男氏を除く五十四名の、そして数多くの世界タイトルマッチのレポートを書いてきました。
私自身、十代から自分の書いてきた英文レポートに誇りを持っています。日本のような世界地図の中の島国でどんなボクシング活動をしているか、誰かが発信しなければならない。外電など大きな試合結果しか報じません。だから、海外の専門誌にノンタイトル戦を含めて、メインイベント、セミファイナルの結果を報じてきました。それが四十三年になります。
「論語」の一番最初の文章に、「人知らずして恨みず、また君子ならずや」という言葉があります。他人が分かってくれなくても、評価してくれなくても、それを不満とせず気にしない、それぞ君子だ、という意味です。私の英語によるレポートはその価値を、私の死後、分かる人だけが評価してくれればいい、と思いながら書き続けてきました。
森鴎外に「寒山拾得」という作品があり、寺の下働きをしている拾得と石窟に住む浮浪者の寒山が実は賢者だったという話です。私は自分の人生において失敗ばかりしてきた愚者そのものですが、こと英語でボクシングのレポートを書くことにおいては寒山拾得であろうと、長年、筆を磨いてきました。根が愚か者ですし、外国の言葉でネイティブの記者たちに対抗するのですから、やっとまともなレポートを書くのに四十年かかりました。今後ともさらに多くの英文を読み続け、自分の語学力を高め、語彙を増やし続けなければなりません。生涯、勉強です。
今回の殿堂入りは過分なる賞ですが、これを激励賞と受けとめ、これまで通り地道にレポートを書き続けたい、と思います。ありがとうございました。
御礼まで
(12−24−07)
実は、「2軸動作はボクシングを変えるか」の続きをこの「ひとりごと」に書こうか、と思っていた。頭の中で、パンチを強く打つ方法ばかり考えていたら、「これはワールドの東洋から世界へ」1頁になるな、と思った。そこなら、図も描ける。
11月末の日曜、午前中、池の周りを散歩したとき、無性にボートを漕ぎたくなった(ボート乗りは私の趣味)。これは原稿執筆からの逃避願望だな、と思い、「原稿を仕上げたら、ボートを漕ぎに来てよい」と自らにニンジン作戦を強制した。
原稿を書き上げて、自宅から池まで5分間、走った。間に合わなかった。4時ちょっとすぎなのに、もう本日終了の札が出ていた。ボートの管理人と直談判をしてもよかったが、大人げない気がしてやめた。結局、池を朝と同様また一周してから帰宅した。
みんなヒザのバネは強調するが、足首のバネとつま先のバネを利用すればパンチを強く打てることをあまりいわない。だから、その一端(踏み込みと踏み換え)をワールドに書いた。
(12−10−07)
いま比国マニラの空港で帰国便を待っている。月曜から今日金曜の朝までWBC総会に出席していた。
左足の痛みがとれた。なぜ最初、痛くなったのだろう。左の股関節の外側に痛みを感じ出したのは約1ヵ月前だった。大した痛みではないが、あまりに長く痛みがとれないので、家内に勧められレントゲン写真を撮りにいった。骨には異常がなかった。
原因を想定してみる。
元来、姿勢が悪い。猫背だ。いつもかがみ込んで本を読むか、パソコンを叩いている。そのうえ、いつも重い鞄を持ち歩いている。鞄にはノート型パソコン、マッチメーキング資料(各国最新ランキング、WBA、WBCランキングなど)、辞書、PCのスペア電池、雑誌、本などが入っている。辞書など、英語、スペイン語、電子辞書(英語だけと7ヶ国語のもの)2種が入っている。それをいつも右手で持つから、バランスをとるため体が左側に傾いている。それを持ち、階段を駆け上がるから体の負担は大きいかもしれない。
いつも1日おきに朝プールで泳いでいた。それを中断したのは、考えてみると木原光知子がプールで指導中、亡くなったのを知ってからだ。水泳は全身運動だからコンスタントに続けているスイマーは(全身の新陳代謝がよくなり)健康なはずだ、と私は思い込んでいた。
彼女は私よりひとつ年下だが、同世代だ。いつも1万メートル泳いでいたそうだ。泳いでいると、頑張るところがある。頑張る、すなわち体に負荷をかけるから運動になる。だが、頑張りすぎるのはよくない。「程ほど」と「頑張り過ぎる」の境界がよく分からない。自分の体力を測りかね迷いだしてから、プールから足が遠ざかった。
推測だが、普段の姿勢の悪さ、あるいは鞄を持ち歩くことによる、体の左右のバランスの悪さは、水泳により矯正されていたのではないか。水泳をしばし中断したから、日常生活におけるバランス障害が解消できなくなったのでは?
比国へ来る前日、初めて酸素カプセルに行った。因果関係はわからないが、出たあと体内の活性化のためか排尿の量が増えた。そして左足の痛みが一時的になくなった。
比国に着いた1日目、また左足つけね外の痛みがぶり返してきた。2日目の朝から水泳を再開した。といっても以前のように1回につき30分も泳がず、10分程度で切り上げた。毎日9時からWBC総会があるからだ。
比国にいる間に左足の痛みはまったくなくなった。
1. 重いものを持たなかったため?
2. 毎日の水泳で背骨を真っ直ぐに矯正したため?
3. 会議では他の人の意見を聴くことが多く、普段ほどには前かがみでPCに向かい仕事する時間が多くなかったため?
4. 外国人の姿勢のよさに刺激され、いつもより前かがみ状態が少なかったため?(日本ではお辞儀することが多い)
5. 体操をよくしたため?(血行がよくなり、痛みを感じることが少なくなった?)
今後の対策はどうするか?
A.鞄の重さを減らす。
B.水泳は日本へ帰ってからも続ける。
C.猫背をやめ、姿勢をよくする。
D.仕事の合間に脊柱を伸ばす運動をする。
E.歩くとき、走るとき、左右のバランスに注意する。
何事においても因果関係を分析するのは難しい。しかし問題を書き出してみると、問題点が明示されることがある(書いたところで、解決ができない問題もあるが)。この方針でしばらくやってみよう。
(11−16−07)
日本というのはある意味でおかしい国だ。テレビ、新聞、雑誌でいつも誰かが謝罪している。謝罪を要求し実現させるまで追い込むのは日本の文化かもしれない。亀田騒動だけではない。政界の失言、耐震建築偽装から、食品偽装、スポーツ界のトラブルと、毎日どこかの分野で謝罪という現象が起こっている。
亀田騒動の間、私はずっとシミュレーションをしながらニュースを見ていた。自分自身が次の登場人物なら、どう振舞い、発言するか。
(1) 安河内JBC局長の場合
(2) 亀田史郎氏の場合
(3) 亀田興毅選手の場合
(4) 亀田大毅選手の場合
(5) 金平会長の場合
たとえば、私が仮に亀田史郎という人格である場合、JBCに対して不服申し立て(異議申し立て)をするとする。その結果はどうなるか。頭の中で状況を将来まで展開する。そのプラス、マイナスを想起する。自分が逆にJBCの立場なら・・・。ニュースごとに、そんな思考作業をしていた。
ボクシングを見ているときも、そんな見方をする。「自分がチーフセカンドなら、次の回はこう行かせる」とか「自分がレフェリーなら、こんな判断をする」とか。そんな想像をしつつ、自分を登場人物に仮託して見ているから、ボクシングは面白い。
昨日の日本シリーズ第5戦で、落合監督は非情にも完全試合ペースの山井投手を8回終了で交替させた。あのように明白な例なら、みんな自分のケーススタディをする。たとえば、「俺なら代えない。山井が完全試合のうえ、シリーズ優勝を飾るというトライをする」という人がいれば、手堅く岩瀬をマウンドに送った落合監督の采配に賛同する人もいるだろう。
そのようなケーススタディをしながら、いつもボクシングを見ている。だから亀田騒動では非常に勉強になった。日本のマスコミ、日本の世論、そして日本の文化の姿を垣間見た感じがした。
(11−2−07)