ジョー小泉のひとりごと 2006年10月


世界戦の公開練習について

世界戦出場選手の来日は試合の1週間前あたり。
公開練習はそれからだ。
外国人選手でスパーリング公開を拒否する例が多くなった。
離日前にスパーリングを切り上げ、あとは体重の微調整をする。

以前は、外国人選手陣営に頼み込んでスパーリングを公開して
もらっていたが、いつも「スパーリングはやりたくない」と
いわれ、もめていた。最近はスパーリングなしの公開練習が
以前より増えてきた。

記者の中で「何だ、スパーリングしないのか」と途中で帰る
人も以前はいた。まるでマッチメーカーの責任であるかのように
非難して・・・。

世界的にスパーリング終了の日程は早まる傾向にあるようだ。
記者諸氏もそれは分かってほしい。
(10−26−06)


試合の何日前までスパーリングをするか

ランディ・スイコを連れてラスベガスへ世界挑戦に行ったとき、試合地に入る前、ロスで1週間トレーニングをした。畑山をコーチしたルディ・エルナンデス氏が世話をしてくれた。彼に質問した。
「ルディ、土曜が試合だとしたら、何曜日までスパーリングをさせる?」
「金曜が計量だから、その前々日、水曜までだ」という。

最近、スパーリングを切り上げるのが早まる一般的傾向がある。1週間前や10日前に最後のスパーリングをする。あとは体重調整のため軽い練習に切り替え、体の疲労を取る。

スイコとアブラカ・トレーナーにいった。
「ラスベガスに入り、火曜あたりまで目ならしのスパーリングをしないか?」と。
2人とも、「もうスパーリングをする必要がない。比国とこのロスで十分スパーリングをした。スパーリングで怪我でもしたら大変だ」と不要論を唱える。こちらは引き下がった。

ラスベガスに入ってからスイコの練習は、ロープを10分跳び、ミットを2、3ラウンド打つだけ。それでリミットまでの2ポンドを落とし、その分を飲食して補給する。結果論だが、汗を流し体重を下げるため、ただ体を動かしているだけの練習だった。大事な最後の1週間が、相手のフアン・ディアス対策の練習に使われていなかった。

ラファエル・メンドサ氏は私が敬意を払う先輩マッチメーカーだ。オスカー・ラリオスのビジネス・マネジャーとしてマニー・パッキャオとの試合のためマニラ入りした。マニラから電話があった。

「日本に3週間いて折角対サウスポーの勘ができたのに、まるまる1週間スパーリングをしないと、それを忘れてしまう。マニラで動きの早いバンタム級かスーパーバンタム級のパートナーを手配できないか。ただし、パッキャオ陣営に情報が漏れないようにしたい」と。

「ラファエル、それは無理だ。比国は全国民パッキャオ・ファンだ。手配はできる。だが秘密保持は難しい」 結局、頼まれてパートナーの手配をした。しかし、ラファエル(というよりラリオス自身)の心変わりで、スパーは行われなかった。

試合後、ラファエルは後悔することしきり。
「火曜か水曜あたり、2ラウンドでいいから、軽いスパーリングをさせておくべきだった。ミゲル・カントやヒルベルト・ローマン(ともにラファエルの選手)のようにナチュラルな勘があるボクサーなら試合直前のスパーはいらない。1週間前にスパーを切り上げてもいい。だがラリオスは馬車馬だ。勘がよくない。東京からマニラに入ってからの1週間、汗を流しているだけだった。パッキャオ対策を忘れてしまった」

スパーをしていれば、あれほどもろにパッキャオの左ストレートを食わず、右へダッキングして右アッパーをストマックに入れる作戦を忘れなかったはずだ、という。

私は子供の頃からトレーナーの見習いをしてきた。40年前頃、みんな結構、試合直前までスパーリングをしていた。ダメージのたまる激しいスパーではなく、目ならしのスパーだったが、あれはあれで効果があったのではないか。

いつからみんなこんなに早くスパーを切り上げるようになったのだろう。安全化のため早目にスパーをやめダメージを抜くことが薦められるからだろうが、そこには弊害もあるのではないか。

つぎにスイコが大きな試合を迎えるとき、私は次のような練習をさせようと思う。
<土曜が試合の場合>
月曜(5日前): 普通に軽くスパーリング(2ラウンド)
火曜(4日前): マスボクシングで、相手に速いジャブ、ワンツーを打たせ、ヘッドスリップしてカウンターをとる練習(2ラウンド)。これが最後のスパーリング
水曜(3日前): シャドーボクシング中心だが、作戦のポイントを重点的に復習
木曜(2日前): 体重がおちていれば、トレーニングはなし。散歩と体操だけ。ただし、散歩の途中、作戦のポイント、重要項目を口頭で再度指示する。
金曜(前日): 計量
土曜: 試合

要は、試合直前まで実戦的練習をし、ただの汗だしトレーニングをしない。この次、自分の選手で実験してみよう。
(10−4−06)