ジョー小泉のひとりごと 2005年8月


新宿のジュンク堂へ行く

午後1時から帝拳ジムで、9−25のワールド・プレミアム・ボクシング興行のアンダーカード発表があった。12時すぎには家を出ないといけないので、朝の水泳はやめた。

飯田橋の駅で降りたのが、ちょうど1時。もうちょっと早めに着き、駅前の文教堂で本を買おう、と思っていた。いつも通訳をする北村さんが担当か、と思ったら、私がリナレス、バレロの通訳だった。1時5分、記者諸氏は待っていた。ああ、本屋に寄らなくてよかった。寄っていたら1時15分になっていたところだった。

そのあと、有楽町線で銀座1丁目に出て、画家の鳥居礼先生の展示会に顔を出した。先生は家内の知り合いで、一度お目にかかったことがある。「芥川龍之介の『杜子春』のイメージですね」と私が言うと、先生は笑った。

丸の内線で帰る途中、急に新宿3丁目で降り、本屋へ寄った。隣の家内に「ジュンク堂が三越の上にできて、大きい本屋らしい。しかし、今日はやめておこう。疲れた」と車内で言っていたのに、急に寄ってみる気になった。私は気まぐれだから、いつも家内は閉口する。

まるで図書館のような造りになった書店で、非常に本が捜しやすかった。

買ったのは、
日本史世界史同時代比較年表(朝日新聞社)
漢詩歓談(大修館書店)
スポーツの科学(ナツメ社)
書道技法講座 蘭亭序 王羲之(ニ玄社)
書道技法講座 孟法師碑 褚遂良(ニ玄社)

スポーツのコーナーをのぞくと、私の「ボクシング珍談奇談」など4冊が置いてあった。「シンデレラマン」の翻訳本が出ていた。6月、ドイツへロンドン経由で行ったとき、ヒースロー空港で「Cinderella Man」のペーパーバックを買った。それを読めば、翻訳本は要らない。読書家はこんなところで節約志向になる。その金で他の本を買えるから。

帰って、RJの会報「ボクシング評論」の原稿を書くつもりが、「漢詩歓談」を読み始めたらやめられず、結局書かず。今年の夏は、このパターンが多く、ついつい本を読んでしまうことが重なった。

私にとり、
読書の敵は、テレビとパソコン。
仕事の敵は、読書。
多分、8月は50冊以上読んだ(数えているわけではないが)。
(8−26−05)


テンポについて

8−21、横浜で亀田、ワンミーチョク戦のあった日、私は尼崎へ行った。マッチメークした世界ランカー対決、中島、ロサス戦の仕事をするためだ。翌日、帰京後、亀田選手の試合のビデオを見て、感心した。なかなかテンポがいい。

ここで「テンポ」について考える。
私はこう考えて教える。
1動作=1テンポ
テンポとは、拍子、拍である。脈拍のように、区切りを持ち、連続する動作の1単位である。
パンチの往(い)き=1テンポ(1拍)
パンチの返り=1テンポ(1拍)
として、ボクシングの動きを分解して、観察する。

初心者にジャブ、1−2を教えるとき、左をまっすぐだし、そこでコブシを止めさせる。これが1テンポ。つぎに構えた位置(オンガード・ポジション)にもどる。これが1テンポ。3つ目のパンチを出すとき、これが1テンポ。それが返るのが、また1テンポ。

スピードとテンポは違う。
スピード、すなわち速度は、距離÷時間だから、往き、あるいは返りの軌道を走る速さである。
テンポが速いというのは、動作のつなぎが速いということだ。

ロイ・ジョーンズもフロイド・メイウェザーもスピードがある。
しかし、ジョーンズ(全盛期)は単純に抜群に速いだけだ。
メイウェザーは速いうえにテンポがいい。動作のつなぎが速い。だから、相手は反応できない。そのパンチを食ってしまう。

試合をしていると、相手のテンポに慣れてくる。少々相手にスピードがあっても、テンポに慣れれば、次にどんなパンチが来るか、次にどんな動きをするか読めてくる。だから、よけられる。それが、適応能力である。

人間のテンポ適応能力には限界がある、と思う。2テンポまでに対しては、反応できる。ところが、疲労してくると、「あっ、パンチが来る」と知覚しても、体の反応が遅れる。そんなとき、相手がテンポアップした攻撃をしかけてくると、反応しにくくなる。

だから、こんな練習方法もある。
普通、自分の最高テンポの70%、80%程度でボクシングをし、相手が疲れてきたら、ときにコンビネーション・ブローをテンポアップして出す。急に回転を速くし、“速攻”をかける。この複合テンポアップ動作(攻撃)を使うと、相手はついてこれない場合がある。レパード玉熊などはこれが上手かった。

テンポについて補足する。
たとえば、相手のジャブに対し、左へヘッドスリップし、左フック(顔面)を打つとする。
相手のジャブが来るのが1テンポ。それに対し、左へ頭をずらしてよけるヘッドスリップが1テンポとする。そこで、左フック(顔面)を打つのが1テンポなら、この左フックは当たらない。なぜか。相手はジャブを返す動き(1テンポ)と同時に、右グローブを上げるか、ダッキングをする。

瞬間的なテンポアップ練習は、動作のテンポを減らすことを目的とする。つまり、相手のジャブをヘッドスリップしたら、相手のジャブが返る前に、左フックを出してしまう。
つまり、
(左へヘッドスリップ + 左フック): 1テンポ(2テンポでなく)
で打ち切ってしまう。
これは、相手に対して、「ジャブよ、おいで」と予測し、来たらすぐヘッドスリップし左フックを出す。これはつながった1動作にしてしまう。ヘッドスリップから左フックの動きを一体化し、1動作にする。そんな反復練習をする。それがテンポ減少トレーニングの一例だ。

亀田選手はそれができかけている。だから、あんな見事なTKO勝ちを飾った。あれでフットワークを使いヒッテンドラン戦法の相手をリードパンチで追えるようになれば、もっと強くなるだろう。
(8−25−05)


今年の夏休み

ランディ・スイコが比国に帰ってから空漠とした気分になった。世界戦の行事、ランディのトレーニング、夜のマッチメーキングが重なり、ちょっとくたびれた。12日から16日の盆休みは格好の休息になった。

私の本の読み方はつんどくで、これは面白そうだな、と思った本は本箱の未読の棚に積んである。それを読み出した。それは10日から始まり、その日は会社を休み、書斎を整理してから読み出した。

私は本を読む人間が偉いとは思わない。本を読まない人間でも偉い、賢い人をこれまでの人生で少なからず見た。また学歴の高い人でも頭のかたい、ものわかりの悪い人も見た。本は偉くなるためでないなら、何のために本を読むのか? それは知識欲のためで、私にとりそれは食欲のようなものだ。

会社員になった当座、1年間の工場実習があった。現場でいわゆる肉体労働を課せられたのだが、終わるとくたくたで、夜時間があるのに本が読めなかった。ちょっと読み始めると、睡魔に襲われる。「こんな生活をしていると、馬鹿になってしまう」と、一念発起、朝5時ごろに起き、出社前に本を読むことにした。そこでいろんな本を読んだ。独身寮から会社まで徒歩5分だったから、ギリギリまで本を読めた。森鴎外をすべて読み、ヘーゲルやキルケゴールを読み、ケインズの一般理論を読み、資本論も読んだ。

40代のころ、これまで本の虫だったのに、本を読むのを控えだした。もっと現実を直視しよう、自分自身の考えを出そう、と思い、ものを見、人と話し、自分で考える方を優先した。誰それがどう言っているというより、自分はどう考えるかの方を重視した。

隠居し、残る人生で本を読もうとか、ひと財産作ったら、もう一度学校へ行ってみたい、と考えたこともある。しかし、こんな忙しい生活をしていると、それは叶(かな)わぬ夢である。

50代になって、もっと好きなことをしてもいいのではないか、と思い出した。というのは、これまでつねに自分はまず何をすべきか、と自ら予定を決め、それに自分を縛りつけるような生き方をしてきたからだ。もっと自由な生き方を、いまの生活の中でも出来るのではないか、と考えた。だから、また本を読み出し、習字を始めた。

いつも水泳と1時間の散歩を1日おき交代でしているが、夏休みの間、それをやめた。ベッドに横になり、好きなだけ読む。読み終わると、次の本を取りに書斎に行き、またベッドで読む。まるで入院患者のような生活だ。

13日(土)から14日(日)は体が疲れていないせいか眠くならず、そのまま朝まで読み続けた。さすがに昼、眠くなり、仮眠をとった。これはよくない、生活のリズムが乱れる、と思い、15日は水泳に行った。

読んだ本は以下の通り。
戦後史(岩波新書)
あの戦争は何だったのか(新潮選書)
自衛隊の誕生(中公新書)
近現代の流れ(KKロングセラーズ)
反米の世界史(講談社現代選書)
DNAから見た日本人(ちくま新書)
戦後責任論(講談社学術文庫)
アジア冷戦史(中公新書)
私の読書術(かのう書房;これは古い本)
早わかり世界史(日本実業出版社)
早わかり日本史(日本実業出版社)
ここでビデオを見直した。
マッカーサーとその時代(文藝春秋)

日本史の本をもっと読みたくなった。
日本の歴史(中央公論)
19 開国と攘夷
20 明治維新
21 近代国家の出発
22 大日本帝国の試練 の途中
で、夏休みが終わった。

15日の夜は、NHKの「これからの日本」という討論会を見た。

体を動かさないから、腹がすかない。家内は15日にテレビに出る仕事があり、打ち合わせなどで外出が多く、食事は作ってテーブルの上に置いてあった。それを食べに降りるのが面倒くさい。時間が惜しい。

ボールペンを片手に読むのだが、
v なるほど
? 理解不能
× 論理の間違い
と、印をつけるだけだから、消費カロリーは非常に低い。腹がへらないのは当然だ。適度の空腹は頭を鋭敏にする。その状態で読むと、本の内容がよく頭に入る。そのかわり、それを通り越し極度の空腹になると、眼で行を追う活力がなくなる。そこでやっと下に降り、何か食べる。その間も、読み続ける。

私は国際マッチメーカーという職業柄、外国人との接触がある。韓国、比国、タイ、インドネシア、アメリカなど。それらの国と日本の間に過去、どんな歴史があったかをもう一度復習してみたくなった。

私は旧軍人の息子で、原爆により親戚を亡くした人間だ。戦後、進駐軍がいた時代をかすかに憶えている。いま出来ることは、歴史を踏まえ、現在を生きることだろう。
(8−17−05)


エアロビクスに行く

ランディ・スイコを呼んで1週間日本でトレーニングさせている。
先日、帝拳での練習後、元日本チャンピオンの鈴木敏和氏のボックスシェイプに連れて行った。
みんなボクシングは速い競技だと思っているかもしれないが、それは瞬間的な速さであって、シャドーボクシングを見ると、各自、自分のリズムで動いている。そうではなくて、インストラクターの号令と音楽で強制的かつ持続的にリズム運動をさせてみた。体の力を抜き、リラックスしないと1時間も速く動き続けられない。

翌日のスパーリングで早くもその効果があった。いつもよりリズムが速くなっていた。
ランディはいまアメリカのビザを取っているところで、ビザが取れ次第、9月の試合が決まる予定だ。
(8−5−05)