ジョー小泉のひとりごと 2003年4月後半


自炊するボクサーのための「カルシウム補給レシピ」

私が急にカルシウム、カルシウムといい出したため、家内がボクサー用のカルシウム補給レシピを作ってくれた。

「栄養成分バイブル」(主婦と生活社)によると、カルシウム含有食品の中で「さけの骨の缶詰」が抜群に数値が高い。1/2缶45gでカルシウム900mgを含むと書いてある。これは牛乳(1食分210g)につき210mg、プロセスチーズ(1食分30g)につき200mgよりカルシウム含有量が高い。しかも安い。

人間が1日に必要とするカルシウム量は800mg、スポーツマンなら約1000mgだという。

ここで、サンプルとしてキョクヨーという会社の「さけの中骨 水煮」の缶詰(100円と安い)の成分表示を見る。100gあたりカルシウム2200mgであり、この缶詰1個は160gである。

缶詰1個あたりのカルシウム量: 2200mg×1.6=3520mg
魚のカルシウムの体への吸収率: 30%
1缶全部食べて体に吸収されるカルシウム量:
3520mg×30%=1056mg
だから、1日分の必要なカルシウムを摂る場合、缶詰1缶分を食べればいいことになる。

カルシウムだけを摂っても、ビタミンDを同時に摂らないと、カルシウムは体に吸収されない。
だから、カルシウム(骨)とビタミンD(さけ)が合体した「さけの中骨」の缶詰はスポーツ選手にとり最適な食品だと、家内は言う。

(A)<さけの中骨・サラダ>

(材料)
さけの中骨の缶詰 1缶(160g)・・・中の水を抜く
レタス 2枚・・・1口で食べられる大きさにちぎる
キューリ 1本・・・斜めにスライス(スライスとは薄切りのことだ)
玉ねぎ 1/2個・・・スライス
赤ピーマン(大)1/2個・・・細切り
マヨネーズ 大さじ 2杯
ポン酢しょう油 大さじ 2杯
こしょう 少々

(作り方)
中骨をポン酢しょう油で混ぜたあと、全材料を混ぜ合わせる。
(説明)
これが一人暮らしで自炊するボクサーには一番簡単。
玉ねぎを入れるのはさけの中骨の生臭さを消すためと、たまねぎに血液をサラサラにする効果があるため。

(B)<さけの中骨・雑炊>

(材料)
ご飯 茶わん1杯分
ニラ 5本くらい
卵 1個
さけの中骨の缶詰 1缶(160g)水あり(注意、缶の中の水使う)
水 400cc
めんつゆ 大さじ 2杯
塩こしょう 少々

(作り方)
鍋で水とめんつゆを煮立ててから、ご飯を入れる。
やわらかくなれば、中骨とニラを加え塩こしょうで味をととのえる。さらに溶(と)いた卵を加えて仕上げる。

(説明)
ジムワークから帰ると、疲労のため体が冷え込むことがある。
何か体が温まるものを食べたい。しかし、きみはひとりものだ。
練習で疲れて、面倒くさい料理を作る元気がない。
そんなときに好適。安くて簡単。
好みでキムチを入れてもよい。

(C)<さけの中骨・オムレツ>

(材料)
卵 3個
玉ねぎ 20g・・・みじん切り
中骨 160g(水あり)
しょう油 小さじ1個
塩こしょう 少々
オリーブ油 大さじ2杯

(作り方)
@玉ねぎ、中骨、しょう油、こしょうを混ぜ合わせておく。
A卵を溶き、その中に@の水分だけを加え、さらに混ぜる。
Bフライパンにオリーブ油を熱し、Aの卵液を流し入れる。
C半熟になれば、@の具を中央にのせ、卵を巻き込みオムレツにする。
好みでケチャップをかけてもよい。

(説明)
これは減量に入る前段階のハードトレーニング期の食事。
玉ねぎ20gというのは、ゆで卵1個の半分くらいの分量。
卵3個、オリーブ油大さじ2杯を使うため、カロリーはやや高い。
しかし、猛練習、発汗で消費したカルシウム補給には効果あり。
(4−30−03)


リング・ジャパン・クラブ月報は明日5月1日発送完了予定

RJクラブ月刊情報誌「ボクシング・ファン」は今日刷り上り、今日と明日とで発送し終えます。

従来、年の中間でRJクラブに入会された人のために、この月報を1月号からストックしていたが、スペース節減のため私がアイデアを出した。

(1)月報のストックは極力置かない。
(2)新会員はその入会した月の月報からのみ送付する。そのかわり、毎月、月割り分ずつ入会費を安くしていく。
(3)過去の会報は、「RJの月報はこんなものです」というサンプルとして、希望者に1冊だけ無料送付する。

だから、電話ひとつ、E−MAILひとつでRJクラブ月報のサンプルを無料でお送りします。
(4−30−03)


カルシウム摂取に関する小山郁さんからの助言

「スポーツ・リハビリテーション」の著者、講道館ビルクリニック院長の小山郁さんに愚問を呈したところ、下記の通り、丁寧な有益な回答をいただいた。この「ひとりごと」に貼り付ける許可をいただいた。氏は昨日の全日本柔道選手権で多忙なところ、回答をいただいた。衷心より感謝。

 人体に含まれるカルシウムの約99%は、骨に存在します。残りの1%が、血液中、体液中、細胞内液などに広く分布しています。このカルシウムの濃度が、神経や筋肉の細胞周囲でバランスをとって存在することによって、人間の身体はスムーズに運動することができます。

 排泄物や汗などで、徐々に失われるカルシウムについては、骨から血液中に溶け出すことによって、とりあえずの身体運動を保つのに必要なだけのカルシウムを補います。しかしながら、筋肉や神経の緊張のバランスが崩れるのは、全体の1%のカルシウムのうちの、さらに数パーセントの濃度の推移によるのですが、カルシウム総量が99%もある骨にとっては、そのぐらいの量の上下はどうってことはありません。

 日本銀行に円がプールされていて、そのプール金を調節することによって、景気やインフレなどの経済をコントロールするようなもので、骨にはカルシウムの貯蔵庫としての働きがあります。

 しかしながら、日々の無理な減量によって、慢性的なカルシウム不足が続くと、骨は少しずつ減少していき、若いのに骨粗鬆症になったりします。

 また、汗などで一気にカルシウムや、ナトリウム、カリウムが失われると、それを補うことができず、筋肉が痙攣を起こしたりします。試合の前に一気に汗を絞って減量したような場合には、これによってうまく筋肉が動かなかったり、途中で筋肉がつってしまったりするのでしょう。

 さて、カルシウムは小腸で吸収されます。食物が小腸に達してから、少しずつ吸収されます。吸収の速度に関する論文や文献は、私も見たことがありません。

 計量の後に水分を補給する際に、下痢などをしない程度の乳製品、あるいはカルシウムを含むスポーツドリンクなどを用いるといいのではないでしょうか。

 またカルシウムは、普段から、あるいは減量中も摂っておくべきで、最近では無脂肪牛乳、カルシウム強化牛乳、カルシウムタブレットなどがありますので、それを利用することをお勧めします。
(4−30−03)


ラリオスの愛称「チョロロ」の意味は?

一昨日、名古屋まで日帰りした。
朝早く家を出て、オスカー・ラリオスの泊まるホテルまで彼を見舞い、ラファエル・メンドサ・マネジャーに挨拶しに寄った。

ラリオスのアゴの骨折について、ラファエルから聞いた。
アゴの正面、普通、チンと呼ばれる部分1個所が折れている、と診断されたそうだ。前夜、病院で応急処置をしてもらったそうだ。

ホテルを出る前、ラファエルに質問した。
?Que significa Chololo?
ラリオスのニックネーム「チョロロ」ってどんな意味か?

ラリオスの父親はテオドロ(Teodoro)という。それを子供の頃のラリオスは上手く発音できない。テオドロを「チョロロ」といい続け、それを家族はおもしろがって彼の愛称にした。それだけのことだ。

スペイン語で「cholo」というのは、中南米では「half-breed, mestizo 混血児、特に白人とアメリカ先住民との混血児」の意味だ。だから、先週のWOWOWエキサイトマッチでは、ラリオスの愛称チョロロは「この混血児の意味のcholoから来ているのでは」と言った。だが、これは間違いのようだ。謹んで訂正。

ラリオスのアゴの骨折を考えてみる。
馬の蹄(ひづめ)の形をした竹ヒゴを思い浮かべればいい。これをアゴの骨と考える。仲里の左フックのごとき衝撃がこの竹ヒゴにかかると、どこが折れるか? 多分、彎曲(わんきょく)している中央部、すなわち、馬蹄形の中央が割れるだろう。力学的に一番弱いのは中央部だ。だから、ラリオスのアゴは中央部で骨折した、と思う。私は機械工学科出身だから、このような力学は多少わかる。

なぜアゴの骨折が起こったか?
仲里の強打のせいもあるが、カルシウム不足が副因だろう。
減量中、適正なカルシウム補給をしていなかったことに原因があるのではないか、と推測する。
(4−29−03)


カルシウムは1日にして身につかず

「ローマは1日にして成らず」という諺がある。
それは普段の努力が大切という意味だろう。
カルシウムも計量から翌日の試合までの1日では身につかないようだ。

今日、先日の「ひとりごと」を読んだ九州の山田操ドクターから電話があった。私の考えは間違っているらしい。

カルシウムというものは計量後、集中的に摂取しても体に吸着するものではない。普段から、乳製品、小魚などを摂取し続けてやっと体に蓄積されるもの、と山田さんに教えられた。

確かにそうかもしれない。カルシウム不足で骨粗鬆症の人が1日、カルシウムを集中的に摂っても、骨密度が増すわけがない。

その外、コーラがカルシウムを溶かすのでよくない(これは私も以前聞いたことがあるが)と教えられた。

「即効性のあるカルシウム摂取法はないんですか?」と問うと、
時間をかけないとカルシウムは体に蓄積しないし、カルシウムだけでなくミネラル全般の摂取を考えなくてはいけない、という意味の教示を受けた。

「栄養というものはそう単純なものではないのです。もっと勉強してもらわないと」とアドバイスされ、苦笑した。

いま書いている本が終わったら、スポーツと栄養について勉強してみよう。幸い、うちにはこの分野の本がかなり沢山ある。すべて読破してみよう。確かにそうだ。チョコチョコと、栄養の本1冊を拾い読みして、効果的な部分だけ勝手に都合よく解釈していては、正しいものの考え方はできないだろう。こんな学習態度は科学的ではない。大いに反省。

ジムの現場で考えると、ボクサーが練習して仮に2キロ体重が落ちたとする。「今日は体重が落ちたから、飲み食いできる」と思うが、発汗とともにカルシウムを含むミネラルが(水分とともに)かなり大量に失われている。汗をかいたあとゲッソリするのはこのミネラル喪失のためだろう。水1リットル=1キロとして、トレーニングにより1キロ体重が落ちたあと、1リットル水を飲んでも体は回復しない。ゲソッとしたままだ。ミネラルを体に補給しなければならない。練習後の水分補給の際、純粋の水よりミネラル配合のスポーツドリンクの方が有効なのはこのためだろう。

毎日、ジムで大量の汗を流すのに適正なミネラル補給をしなければ体内の栄養バランスは悪化する。たとえば、カルシウムを例にとれば、運動によりカルシウムを消費し、かつ発汗によりカルシウムを失いながら、日々の食事でカルシウムを適正に補わなければ、若いボクサーといえども骨密度が落ちるということになりませんか、山田さん。極端なことをいえば、骨密度の低くなったコブシで年から年中、サンドバッグを叩いていれば、疲労骨折も起きやすくなるのではないですか?

これも素人考えだが、カルシウムは筋肉の円滑な収縮の源とするなら、慢性カルシウム不足の体ではスピードが出せないということでは?

私はせっかちだから、すぐ即効性を求めるが、即効性を求められないものもあるようだ。まあ、栄養についてもっと勉強してみよう。
(4−28−03)


減量後のカルシウムの補給について

後楽園ホールで姫路木下ジムの石津マネジャーからある人を紹介された。それが石津さんの昔の同級生という柔道の講道館ビルクリニック院長の小山郁さんだった。小山さんからもう絶版になった「ボクシングは科学だ」を探しているが古本屋でも見つからぬとのメールを貰い、1冊謹呈した。

その返礼に頂戴したのが、「図解 スポーツ・リハビリテーション」(山海堂)だった。図が多く、非常に分かり易い本で、読了後、御礼のメールを出したところ、小山さんのメールの中に次のような文章があった。

栄養士に話を聞いたところ、「カルシウムは便と尿と汗から失われるが、汗から失われる量が馬鹿にならない」ということでした。水分減量による無理な減量も、その一因なのでしょうか。

これを読んで、カリフォルニアのレフェリーで私の親友、ドクター・ジェームズ・デンキンが繰り返し言っていた言葉を思い出した。
People think dehydration is a shortage of water in the body, but that’s not true. Dehydration is a shortage of not only water but also calcium and potassium. If dehydration is just a lack of water, you can drink water to furnish it to the dry body. But that’s not enough. After your severe reduction of weight, your body lost much calcium and potassium after sweating, so you have to furnish especially calcium to regain your physical fitness after the weigh-in or after your hard training.

脱水(dehydration)というとその言葉から体内の水分不足と思うかもしれないが、ただそれだけではない。発汗のあと、水分のみならず、カルシウム(calcium)とカリウム(potassium)が大量に体外に出る。だから、減量後、発汗後には体の活力をとりもどすため、水とともに特にカルシウムを補給しなければならない。

なぜジェンキン氏の言葉をこんなに明瞭に覚えているかといえば、私の頭は英語で聞いたり読んだことは英語で憶え、日本語でそうしたことは日本語で記憶しているからだ。それについては、いつか単語記憶法のコツについて書くことでもあるだろう。いまはそんなことはどうでもいい。

多分、ジェンキン氏がレフェリーをする世界戦の前、選手が計量で失敗して急激にウェイトを落とすのをわれわれが延々と待っている間の会話だったような気がする。それは、ヒルベルト・ローマン対畑中清詞戦でローマンがウェイトオーバーしたときのように思う。

過酷な減量をして計量をパスする。そのあと、水分だけを補給しても、ボクサーは元気に動けない。特にカルシウム(筋肉の収縮、すなわち筋肉運動のいわば源)を補給しなければ、ゲッソリした状態で試合を迎えることになる。そうであれば、カルシウムを含むものを減量後、あるいは計量後摂ることで、試合あるいは明日の練習で元気に動けるのでないか。それが私の問題とするところだ。

家内は料理研究家だ。しかし、体育の専門家ではない。
私の疑問は非常に現実的だ。
1. カルシウムを多く含む食品は何か?
2. その吸収率はどうか? 明日の試合(明日の練習)までにカルシウム不足を解消できる即効性の食品はないのか?

1の回答:
乳製品(チーズ、牛乳、ヨーグルトなど)、骨の多い魚、小松菜、豆腐、がんもどき、干しひじき、ごま
2の回答:
乳製品の吸収率がよく約50%、小魚が約30%、青菜が約18%。

家内に借りた「からだに効く 栄養成分バイブル」(中村丁次氏監修、主婦と生活社)のカルシウムとカリウムの項を読んで、上の回答を得た。(ただし、この100%とするものが明示されていない。多分、食品に含まれているカルシウム量を100とした場合、体内に吸収されるのが乳製品の場合50%で、残り50%は吸収されずに体外に排出されるのだろう。その吸収速度も知りたいが書いていない。計量後、明日の試合まで24時間以内に吸収されるかどうか、それが知りたいのに)。

しかし、「牛乳やチーズ」は体重がつくといわれ、従来、ボクシング界では禁忌の食品だった。一方、小魚や小松菜(これは青菜のなかでも特にカルシウムが多い)は吸収率が悪い。

減量に入ると急に元気のなくなる選手がいた。それはそうだろう。ガソリンを入れず、車を走らせるようなものだから。昔、減量に失敗したとかいうボクサーが普段の実力から考えると信じられないくらい覇気のない試合ぶりをすることがあった。辰巳八郎や沢田二郎といった私がボクシングを見始めた頃の話だ。ダラダラとクリンチばかりの試合がいかに多かったことか。

この「栄養成分バイブル」の中に、不足した場合の反応が出ていた。
カルシウムの不足: 筋肉を滑らかに収縮できない
カリウムの不足: 筋肉が弱る、力が出ない、手足がしびれる、痙攣(けいれん)が起こる

15年ほど前、岩波新書で「筋肉の収縮」とかいう題名の本を読んだ(多分、いまは絶版だろう)。筋肉運動におけるカルシウムの重要性がそれでわかった。

牛乳はなぜボクサーにとり、よくないと言われてきたのだろう。多分、(1)下痢を起こす、(2)脂肪を含んでいるので、水よりも体重が落ちにくい、というのが従来の理由だろう。試合前の減量期、脂肪分を避ける時期に、バターやチーズを食べるボクサーはいない。

ここで首をかしげた。従来の常識を疑ってみる必要がある。日本式の減量は、体を枯らせる、いわば体重さえ落とせばいいんだろう式の減量法だったのではないか。体の力、活力(vitality)、覇気(zip)を保ちつつ、体脂肪を落とすのが体重制のあるスポーツの減量法であるべきではないのか。減量がきつかったという割りに、結構体脂肪のついた体で、見るからに活力のない体でリングに上がってくるボクサーとときどき見る。

要は、トレーニング期であれ計量後であれ、食品の量と質の問題だろう。冷たい牛乳がカルシウムを含んでいるのに、ただ下痢をするかもしれないだけで拒否されるのはおかしい。ホット・ミルクにすればいいのだろう。チーズも明日の練習の活力となり、その活力によりより激しい発汗をもたらす練習ができるなら、小さな片(かけら)くらいは摂っていいのではないか。

「ジョー小泉は馬鹿だ。牛乳やチーズをボクサーに摂取させようとしている。牛乳やチーズはもう50年にわたり、ボクシング界でボクサーが摂ってはいけないと言われてきた食品なのに。あいつはそんな常識さえないんだ」と、頭のかたい人たちに怒られるかもしれない。しかし、いま疑問に思えだしてきたが、そんなエセ常識にどんな科学的根拠がある、というのだ。

私はものごとを疑う人間なので、まだ下記のカルシウム補給のための食品をボクサーやトレーナー全般に勧めはしない。ただ自分の選手(といっても、スイコとガンボアしかいないが)に試してみようと思う。

<計量後から翌日の試合まで>
1. ホット・ミルクをグラス1杯、食事ごとに飲ませる。
2. スパゲッティにはチーズをたっぷりかけさせる。このチーズが大事だ。
3. 鮭の骨の缶詰(缶詰1/2、つまり45gで900mgのカルシウムを含み、これがカルシウム包含食品のトップと「栄養成分バイブル」の本には書いてある)を食べ物と混ぜて獲らせる。
4. がんもどき、豆腐、干しひじき(非常にカルシウムをよく含んでいるらしい)をスイコに食べさせてみよう(食べないかな)。
5. 計慮後の食事の後には、必ずヨーグルト(あまり冷えすぎていないもの)を食べさせる。
6. カルシウム入りのサプルメントを飲ませる。

ここで、家内が横から口出しをしてきた。
「カルシウムばかり摂っても、ビタミンDを摂らないと、カルシウムは体に吸収されないのよ」と。

ここで、「栄養成分バイブル」のビタミンDのところを丁寧に読んだ。なるほど、カルシウムとビタミンDはともに摂取しなければいけないようだ。

こんな記述がある。
「85歳という高齢の女性に、1日にビタミンD800IUとカルシウム1200mgを1年半、毎日服用させたとこと、骨密度が増加し、骨折頻度が少なくなった」と。

ビタミンDを多く含む食品:
さけ、かれい、あんこうの肝、きくらげ、にしん、むつ、うなぎの蒲焼、かじき、にじます、さんま、かつお、さば、いわし、さわら、太刀魚、ぶり、干ししいたけ、・・・

要は、乳製品とともにこれらの魚を食べさせれば、カルシウムが体内に吸収され、筋肉運動の円滑さが生まれるということだろう。ランディはうなぎの蒲焼を食べるかな。

上に書いたカルシウム含有食品とともに、スタミナ源である炭水化物(ごはん、ぱん、スパゲティ、うどん、など)を摂取し、体に吸収させれば、明日の試合のとき減量後のゲッソリした“減量疲労”から回復した活力のある体でリングに立てるということだろう。

まあ、試してみよう。みんなに勧めるのは、実験して効果があってからだ。本のセオリーというのはよくウソを書いていることがあるから。要は、効果があり、試合に勝てばいいのだから。

世界戦の前後から、こんな栄養学の本ばかり読んでいた。しかし、実際に効果があるかどうかは確かめてからだ。

補足になるが、ボクサーたちは減量期に入ると水分を無闇に減らすため、便秘になりがちだ。ヨーグルトをカルシウム補給だけでなく、便通剤のように活用できないか。
(4−27−03)


ボクサーの手の骨折は減量によるカルシウム不足が原因?

昨日、岡山へ藤田和典選手の試合を見るために日帰りした。
新幹線である本を読んでいて、文字通り、目からウロコが落ちる思いがした。

それは、「スポーツ・リハビリテーション」(小山郁氏著)だ。
身体各部を痛めたときのリハビリテーション・プログラムを書いたものだが、
「手の骨折」の項に次のような記述があった。

(前略)これが「ボクサー骨折」と呼ばれるものです。
栄養学を無視した無理な減量によって、カルシウムが不足して、骨折を起こしやすくなることもあるので、注意を要します。

以前から、なぜ日本人ボクサーにコブシの骨折が(外国人選手より)多いのか、ずっと疑問に思っていた。バンデージの巻き方も日本人トレーナーの方法が外国のトレーナーより劣っているわけではない。それなのに日本人選手には手の骨折が多い。(私は世界タイトルマッチのマッチメーキングを担当した際、外国人選手がバンデージを巻くのを見る機会がある。総じて、日本人選手たちより、バンデージは厚目である。コブシの保護を考えているのだろう)。

漠然と、日本人選手はナックルの当て方が悪いためではないか、と思っていた。
しかし、この小山氏の本を読んで納得できた気がした。

過度の減量によるカルシウム不足が原因のひとつなら、それは充分に日本人選手の手の骨折が多いことの説明になるだろう。

ものごとの因果関係というのは、その主因、副因を究めるのが難しく、原因と考えられる要素が複数ある場合、そこには統計的推論が必要になってくる。だが、この「カルシウム不足説」には大いに根拠があるように思える。

この推論の下にどう対処すればいいのだろう。

(1)節食、減量中も、カルシウムの摂取を心がける。
(2)減量のきつかった選手には骨折の危険性があると予想し、バンデージの巻き方を工夫する(いつもより厚めに巻く、あるいは手の甲の部分のバンデージを強化する、すなわち、斜めにXに巻くことを忘れない)
(3)普段からカルシウム摂取を考えた食事をする。
(運動は筋収縮、すなわち筋肉の収縮により行われ、筋収縮はカルシウムの消費を伴う。激しい運動をするほど、体内でカルシウムが費やされる)
(4−21−03)


今夜のWOWOWエキサイトマッチ

あのウラディミール・クリチコがコリー・サンダースに番狂わせで敗れた驚愕のファイトがついに今夜8時から放送。
これを見なければ、ボクシングを見るためにWOWOWに加入した意味がない。それほどすごい番狂わせ。

最初の試合はWBOフライ級タイトル戦で、初回からチャンピオンのフェルナンド・モンティエルがダウンし、逆転KOする、こちらもすごいファイト。
見るべし、見るべし、見るべーし!
(4−21−03)


ロイ・ジョーンズ ヘビー級王座を選択

ロイ・ジョーンズJr.はWBAのL・ヘビー級とヘビー級王座を保持しており、そのいずれを選択し、一方を返上するか、注目されていたが、何とヘビー級王者として留まることを決めた。
最新の「BOXING UPDATE」誌にStation Casinosのジョーンズがらみのオッズがもう出ていた。これが面白い。

対ホリフィールド 3.5:1でジョーンズ有利
対タイソン 7:5でジョーンズ有利
対クリス・バード 8:5でジョーンズ有利
対コリー・サンダース 3.5:1でジョーンズ有利
対ビタリ・クリチコ 8:5でビタリ有利
そうかなァ?
(4−17−03)


廃墟のこと

月に一度くらい映画を見に行く。気分転換にはいい。
最後に見たのは「戦場のピアニスト」だった。
もう数週間経ったが、強く印象に残る場面がある。それは、ピアニストのシュピルマンが壁を乗り越えたとき、荒涼として拡がる廃墟のシーンだ。

学生時代、よく安部公房を読んだ。「廃墟」という言葉がよく出てきた。荒れ果てた家並みくらいに考えていた。デトロイトのクロンクジムに千里馬啓徳を預けていたとき、その練習ぶりを2度見に行った。第1冊目の著作「ボクシングは科学だ」にその頃のことを書いた。クロンクジムを訪れる道すがら、巨大な自動車工場が廃墟と化したのを見た。

今回、映画で見た廃墟はそれを上回る荒廃を感じさせた。たとえ、映画のセットであろうと、それは戦争が街全体を破壊しつくした姿を映し出していた。

戦争は空しい。多くの生命が失われ、多くの建築物が壊される。連日、イラク戦争の跡がテレビに映るが、廃墟は放送されない。また映画に戻るが、ドイツ人たちは数多くのユダヤ人を虐殺した。ユダヤ人のドイツに対する怨念は幾世代にわたり継承されるだろう。私は日本の元軍人の息子として、戦記をいくつか読んだ。日本もドイツのごとく虐殺に加担したらしい。

韓国、タイ、比国でいまだに反日感情があるのを、現地で感じることがある。日本はアジアの中で稀な経済大国だから、日本からの経済的恩恵をうけるため、現地の民は表向き親日的仮面をかぶってはいるが、その根底には親、兄弟たちを日本の軍人に殺戮された民衆の恨みが(その国の歴史教育、あるいは語り伝えにより)依然として残存しているのだろう。

私は一介の拳闘屋、すなわちマッチメーカーとしてアジアの近隣の国を幾度か訪れた。政治にも歴史にも表向きは無関心を装っていた。そんな問題を議論しに来たのではない。また議論しだすと結論が見出せない問題も多々ある。いまさら、「前の世代の過失を遺憾と思い、心から陳謝する」などと天皇や首相のような言葉を私が述べる必要もないだろう。ただその国の同業者である拳闘屋と交わり、試合を作ったり観戦して帰ってきただけだった。

いま戦争という現実を連日、テレビの画面で見ると、過去の旅が想い出される。韓国で、教科書問題が論議を呼んでいた当時、タクシーにボクシング評論家の金裕昌氏と乗っていて、「日本人か。俺は日本人は大嫌いだ。降りてくれ。金など要らない」と追い出されたことがあった。金氏に注意され、地下鉄の中で互いに日本語で会話するのを自粛したこともある。比国でルイシト事件のとき、連日、新聞であることないことを批判された。タイで、計量のトリック、試合場までの遠回りなどの目に遭った。あれはみんな彼らの反日感情の発露であったのではないか。

私の伯父たちの世代は南方の戦線で幾多の廃墟を作ったことだろう。大東亜共栄圏という美名のもとで家を焼かれたアジアの民は日本を終生、憎んだことだろう。その息子たちは心の底で私たち日本の現代人に同様な憎しみを抱いているのかもしれない。

ルイシト、ガンボア、スイコと比国人のプロボクサーのマネジャーになってきた。そのため、比国を度々訪れた。表面では笑っていながら、心中で日本人を憎悪したり軽侮している人たちと私は会った。

アメリカ人たちが数十年後、イラクを訪れたとき、民はアメリカにアメリカ人にどんな対応をするだろうか。その頃、私はもう生きてはいないかもしれないが、多分、現在の日本人がアメリカやアメリカ人に対するような親近感を示さないのではないか。むしろ、国土を焼かれた怨念が反米感情として燃え続けるのではないか。

戦争は空しい。民が築き上げた文化や伝統を破壊するのだから。アメリカは戦後処理を上手く行わないと、イラクのみならずアラブ諸国全体の反感を買うだろう。歴史を長い眼で見れば、今回の戦争はアメリカにとり将来、禍根を残すものとなるのかもしれない。
(4−16−03)