ジョー小泉のひとりごと 2003年3月前半


WBA・WBO統一SFe級タイトル戦

WBA・WBO統一SFe級タイトル戦

3-15 シカゴ

王者アセリノ・フレイタス(ブラジル)32-0,29KO前130

4R19秒TKO

挑戦者ファン・カルロス・ラミレス(メキシコ)29-3,12KO前130


両者ダウン応酬の激闘。初回、フレイタスは慎重にジャブ、1−2、左フックを打ち足を使えば、ラミレスはその打ち終わりに右を合わせようとする。2回、フレイタスがダウン。これはラミレスのパンチというより、プッシュによるものに見えた。

3回、今度はフレイタスがラミレスを右で巻き落とした格好でダウンを奪い返す。レフェリーは最初、スリップと宣言しかけて、カウントを取り出した。立ち上がったラミレスに対しフレイタスは連打でラッシュをかけ、この回2度目のダウンを奪う。フレイタスは仕留めにかかり、ラミレスはロープに詰められながら連打を辛うじて交わすところでゴング。4回、開始早々、フレイタスがまたラッシュをかけ、ラミレスがダウンしたところでレフェリー・ストップ。

フレイタスはデビューから29連続KO勝ちのあと3試合判定が続いていたが、これでまたKO街道復帰。フレイタスの試合後のコメント:「4団体のSFe級王座を統一したい。この勝利を昨年、ガンで逝った父と今日誕生日を迎えた母に捧げたい」。

何だ、ライト級に転向するのではないのか。なるほど、いま転級しても直ぐにはL級王座挑戦とはいかないから、時期を待つのだろう。


3-15 ダラス

WBA8位 カーク・ジョンソン

KO4回

ルー・サバリース


ジョンソンの右アッパーでサバリースはキャンバスに沈み、10カウント。


WBA,IBF SM級統一戦

3-15 独ベルリン
IBF王者スフェン・オットケ(独)
判定2−1 (116−114,115−113,112−116)
WBA王者バイロン・ミッチェル(米)

接戦だったが、テクニシャンのオットケがミッチェルの強打をかわしきった。勝者オットケは30連勝無敗で通算17度目の防衛。

3-15 マニラ
IBF SB級王者マニー・パッキャオ(比国)はノンタイトル戦でエリクザーン・イェシュマンベトフ(カザフスタン)に4回強烈なカウンターでダウンを奪われたが、5回逆転KO勝ち。

6月21日は、当初、レノックス・ルイスとマイク・タイソンの再戦のためのHBOテレビの予定日だったが、タイソンがこれを了承しないため、別の候補カードが浮上している。それはIBF王者クリス・バード(米)と、最近ウラディミール・クリチコに番狂わせで勝った新WBO王者コリー・サンダース(南ア)の対戦だという。もし実現すれば、サウスポー同士の統一戦でこれは史上初。


日韓チャンピオン対抗戦

日韓チャンピオン対抗戦

3-15
M王者 鈴木悟(八王子中屋) 19-3,12 KO 前
KO3R3分10秒
韓SW王者 呉炳哲 11-5-1,3 KO 前

初回、鈴木がジャブで先制。2回、鈴木はジャブ、ボディブローで攻勢。3回、鈴木がジャブ、ワンツーで攻めれば、呉も右カウンターを狙う王者同士の緊迫した展開のうち、終了間際、鈴木の左ボディ・アッパーが決まり、呉は悶絶して10カウントを聞いた。これは保住のアキレス腱の痛みによるキャンセルのための代理カードだったが、日韓チャンピオン同士の対決で盛り上がった。

SB級8回戦
ホルヘ・リナレス(帝拳) 2-0,1 KO 前
8R (3回KO)
タイB1 シンダム・モンタサイチョン 15-12,11 KO 前

1回からリナレス(アマ144勝6敗)の滑るようなフットワークに乗せて放つジャブ、ワンツー、左アッパーが的確に決まる。2回に入ると、シンダムもたまに反撃するが、長身リナレスのスピードとパワーに押されっぱなし。3回、リナレスの絵に描いたようなワンツーからの左アッパーでシンダムは完全にのびた。リナレスは4月19日のオケロ・ピーターのOPBFヘビー級防衛戦のアンダーカードに出場する予定。弱冠17歳にして、元ベネズエラ5年連続アマ王者というリナレスは順調に伸びれば、世界王者候補だろう。

岸田直哉(クラトキ) 7-1-2,3 KO 前
8R
小山泰裕(CQ渡辺)5-3,1KO前

LF級のサウスポー同士の対戦は3回、岸田がダウンを奪ったが、全般的に小山の手数に押され、小山が2−0の判定勝ち。

今回、保住の欠場決定により1週間前に以来を受け、幸い韓国のチャンピオン呉を組むことが出来たが、この緊急時においてコミッション各位の御協力に大いに感謝いたします。

速報メール会員には、明日午後、フレイタス、ラミレスのWBA/WBO SFe級タイトル戦の速報を送信します。
(3−15−03)


非ボクシング・ファンのための分かりやすい解説

4月からWOWOWエイサイトマッチが、月曜夜8時から10時の時間帯で放送されることになった。これを機に、ボクシング・マニアでない一般視聴者にももっと初歩的解説を交えた放送を試みよう、とプロデューサーから提案があった。

そこで考えた。
確かに、視聴者に当然、予備知識がある、と思っている事柄に(一般への)説明が必要なものがある。それを出来るだけ短くコンパクトな解説や定義で視聴者を納得させたい。

下記はその試みである。

<統一チャンピオン>
いま4つの世界タイトル認定団体があります。原則として、同じ階級に4人の各団体のチャンピオンがいるわけです。そのチャンピオン同士が互いの王座を賭けて戦うのが「統一戦、あるいは統一タイトルマッチ」で、その勝者、つまり同じ階級の複数のタイトルを持つ選手を統一チャンピオンと呼びます。

<暫定王座>
これは主としてWBCが認める制度で、チャンピオンが半年以上の長期間、防衛戦を消化できないとき、待機している挑戦者たちを満足させタイトル戦を活発化するため、暫定的に同じクラスにもう1人チャンピオンを認定します。負傷などから復帰した正チャンピオンは暫定チャンピオンと対戦し、王座を一本化することを強制されます。

<指名試合>
これはチャンピオンが1位の挑戦者と戦う防衛戦です。WBAでは9ヵ月に1度、WBCでは1年に1度、この1位、すなわち最強の挑戦者と戦う義務があります。

<世界ランキング>
よく世界何位といいますが、おのおのの王座認定団体で、世界1位から15位、あるいはWBCのように1位から30位まで序列をつけます。その毎月、試合結果を反映してつける序列が世界ランキングです。この世界ランキングにリストアップされた選手には、世界タイトル挑戦の資格が与えられます。

いま仕事の合間、休日など、自分に対し、「階級制度とは?」などの非常に初歩的な質問を投げかけ、茶の間のお母さんやお姉さんレベルの人が「なるほど」と思えるような、端的な定義や説明を頭の中で試みている。出来るだけ簡単で、スパっと理解してもらう説明というのは、案外難しい。

素人を 啓蒙するのも 評論家
(3−15−03)


WBA・WBO統一SFe級タイトル戦展望

WBA・WBO統一SFe級タイトル戦展望

3-15 シカゴ
王者アセリノ・フレイタス(ブラジル)32-0,29KO前130
12R
挑戦者ファン・カルロス・ラミレス(メキシコ)29-3,12KO前130

フレイタスの強打は最近3試合湿っている。アルフレド・コティ、ホエル・カサマヨル、ダニエル・アターと3連続判定勝ち。いずれも防御がよく、打たれ強い相手ばかり。今回の挑戦者ラミレスもしぶといが、上記3名よりは戦いやすい相手だ。ラミレスは過去2度世界挑戦経験あり。98年にWBC Fe級王者ルイシト・エスピノサに11回負傷判定負けしたが大善戦、99年に1階級下げ、SB級王者エリック・モラレスにこれも善戦しながら9回TKO負け。私は対ルイシト戦をエルパソで見たが、ガードのかたい堅実なカウンターパンチャーで勘もいい。ただし、パンチのパワーはいまひとつ。だが、ラミレスは最近6連勝と好調で、元王者のヘスス・サルード、セサール・ソトを破っている。

順調ならフレイタスの強打が後半炸裂し、ラミレスを攻め落とすだろうが、試合が長引くとラミレスの受けては打ち返す戦法に苦戦する可能性もある。このクラスのほかの王者は、Cがシリモンコン、Aがヨーサナン、Fがカルロス・エルナンデスとフレイタスと比較すると、力が落ちる。フレイタスが牽引車となりKO防衛を再開しないと、低迷クラスとなりかねない。明日の結果に期待したい。

米国に住むルイシト・エスピノサは最近、米国のホープたちの踏み石となっている感があるが、3月27日、カリフォルニア州オークランドで、マルコ・アンヘル・ペレス(メキシコ)と対戦する。このペレスは16-3,12KOと好戦績だが、最近はロジャー・メダル、ウンベルト・ソトに2連続TKO負け。ただし、その前の試合では日本にも登場したダスティン・キムに2回TKO勝ちしている、元WBC中米カリブ海王者だ。

ルイシトはセサール・ソトに負傷判定で敗れて以来、ラモン・アラゴン(勝TKO4)、オージー・サンチェス(負TKO4)、エベール・ベレニョ(勝KO2)、ザヒール・ラヒーム(負TKO8 ジェシー・リードがトレーナーをするスピードスターで現在21戦全勝11KO、戦績ほどにはいい選手ではない)と勝ったり負けたり。体重がSFeにあがり、35歳という年齢のせいかややスピードが落ちている。ただし、得意の吉野弘幸ばりの左フックだけは健在で、ラヒームからも先制のダウンを奪っている。この3/27の試合結果にも注目したい。


ウラディミール・クリチコ敗れる

3-8 独ハノーバー
WBOヘビー級タイトルマッチ

挑戦者 コリー・サンダース(南ア)38-2,28KO前
TKO2回2分33秒
王者 ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)40-1,37KO前

大番狂わせ。1回、サウスポーのサンダースの左フックで王者ウラディミールがダウン。2回にも2度ダウンを追加し、レフェリーストップ。この番狂わせはヘビー級地図に異変をもたらすこと必至。


4月26日のトリプル戦正式発表

昨日午後、帝拳ジムで世界戦を含むトリプル・メインイベントの正式発表があった。

WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
王者 オスカー・ラリオス(メキシコ)47-3-1,33KO
12R
5位 仲里繁(沖縄ワールドリング)23-5,18KO

OPBF SL級タイトル戦(指名戦)
王者 佐竹政一(明石)17-2-4,10KO
12R
1位(比国王者)ディンド・カスタニャレス 12-0-1,9KO

OPBF SB級王座決定戦
WBC17位 福島学(JBスポーツ)23-5-1,17KO
12R
1位(韓国王者)鄭在光 9-0-2,4KO

発表に伴い、仲里と福島の5Rのスパーリングが行われたが、これが火花を散らすような激しい打ち合いだった。特に仲里の踏み込み鋭い右ストレート、あるいは左フックからの右がよくヒットしていた。スロースターター傾向のある仲里がラリオスの先制攻撃を避け、中間距離の打撃戦に持ち込めれば、強打者同士の激しい打撃戦になるだろう。

大嶋、リック、坂本を連破し上昇気流に乗る佐竹が東洋最強の挑戦者を迎える。カスタニャレスはまだ21歳の比国の名門ALAジムの金の卵で、元比国アマL級王者で、現OPBF SFe級王者ランディ・スイコにアマ時代3度勝っている技巧派強打者だ。ガードが堅く、左ジャブからのコンビネーションでグイグイ前に出てくるボクサーファイターで、スピードもパンチもある。佐竹は余程、好コンディションで臨み、カスタニャレスの突進を右リードでストップしないと、パワー負けする危険性がある。

福島の対戦者、鄭も強い。韓国王座獲得から4度の防衛戦までの計5戦で3KO勝ちを記録している。日本で、一昨年11月、Fe級の榎洋之に初回から右クロスの強打を浴びせ、分のある引分けを演じた。東京のファンは、「あの韓国チャンピオンは強かった」と憶えいているはずだ。福島は課題であるガード、アゴの締めを強化し、この難敵を打ち破りOPBF王座を是非獲得したいところだ。

日時:4月26日(土)第1試合開始 12時40分
場所:両国国技館
券種:
リングサイド席 3万、指定A 2万、指定B 1万、2階指定A 2万、2階B 1万、2階C 5千。
リング・ジャパンでもチケットを取り扱います。携帯からでもオーダーできます(メールアドレス:order@ring−japan.com)。
両国に 火花散るべし トリプル戦

明日午後、WBOヘビー級タイトルマッチの結果が出る。
3−8 独ハノーバー
WBOヘビー級タイトルマッチ
ウラディミール・キウリチコ(ウクライナ)40-1,37KO
12R
コリー・サンダース(南ア)38-2,28KO
ただし、私は徳山の結婚式に出席するので帰宅後、この結果を速報します。式場にパソコンを持っていくのは・・・やはり止めたい。
(3−8−03)


携帯は失せ物を増やす

昨日、面白いことがあった。夜、事務所で「珍談奇談」のサインをしていた。いい字が書ける日とそうでない日とがある。数冊サインして調子の悪いときはサインペンを擱(お)く。昨日はサインが好調で、20冊くらい書いておきたかった。

社員の誰かが23日の福岡行きのことを訊いた。
「あれ、越本会長から送ってもらった航空券をどこにしまったのだろう?」
事務所の机の上、引き出しを探すが見当たらない。おかしい。確かに受け取り、越本会長に受領確認の電話もしたのに。おかしい。どこに収めたか、記憶にない。

サインどころではなくなった。ぼけたのではない。私は大事なものはそれをどこかに収め、それを自分の記憶に念押しする。だが、これに関しては収納場所の記憶がない。

「私は今日は帰る。家で調べてみる。万が一なければ、越本会長に連絡して、その旅行社に航空券の再発行を依頼しなければならない。格好悪いな」と言いながら、事務所を出た。

帰宅して後楽園ホールやコミッションに行くとき持参するアタッシュケース(私のアタッシュ)を開いてみると、それがあった。

なぜこんなことが起きたのか? 一度ミスをすると、徹底的に自分を追及し、同じミスを繰り返さないように自戒する。それは拙著「つねに強気で生きる方法」に書いた通り、私の生きる知恵だ。

分かった。今回の航空券紛失だけでなく、最近の記憶違いの原因がつかめた。
携帯電話が犯人だ。

何かを収め、その場所を記憶に刻みつけようとする寸前、携帯がなる。「ああ、会長、・・・」とマッチメーキングの商談になる。それも20分、30分に及ぶことがある。それが終わると、すぐビデオだ、フルレコードだ、と社員諸君に指示を出す。その時点で、携帯が鳴る直前の収納作業が記憶からとんでいる。

今後、どうすればいいか。
収納作業の途中、携帯電話が鳴れば、その収納作業を上の空でせず、自分の目の前に収納物を置く。携帯で話しながらの収納は一切、自分に禁ずる。電話が終わってから、収納を注意を集中して行い、その場所を記憶に刻み付ける。これで対処できるはずだ。2度とこんなミスをしないようにする。

これまで生きてきて、文明の利器が次々と出てきた。私が自分の生活の中で非常に大きく依存するようになったのは、パソコンと携帯電話だ。携帯がなかった当時、連絡をとるために公衆電話を探さねばならなかった。最近では、朝散歩をしていても、韓国コミッションから電話がかかるくらいだから、便利なことはこのうえもない。その代わり、大いに弊害もある。薬に作用、副作用があるがごとし。

車を運転していてサイドを擦ったり、昨日のように失せ物が生じたり・・・私の場合、携帯を使い出して話に熱中あるいは集中して小さなミスをしたのは数え切れない。

「車の運転をするときは、携帯を切ればいいのに」と家内はアドバイスするが、マッチメーカーはプロモーターと四六時中、連絡を取り合わねばならない。だから、そうもいかない。

携帯の弊害除去の自分用のマニュアルを自分の頭の中で作り出さねばいけない。これは私のように動き回る人間にとり切実な問題だ。
(3−6−03)


ロイ・ジョーンズの快挙を見たあとの所感

いくつか感じたことがある。

確かにジョーンズは素晴らしかったが、ルイスの不甲斐なさ、策のなさも感じた。

ジョーンズの、というより、一般論として速いジャブの有効性を見せつけられた。ルイスがインファイトに巧みなら、あのジャブをヘッドスリップでかいくぐり接近戦に持ち込めただろう。それが出来ていれば、ジョーンズの体力をもっと削(そ)ぐことができたかもしれない。そうすれば、あれほどまでに一方的な展開にはならなかったかもしれない。

意外だったのは、ジョーンズがフットワークを抑えて戦い通したことだ。足でルイスをさばこうとしていれば、もっと体力を消耗していただろう。ジョーンズはLH級リミットより計量時で18ポンド(約8キロ)、試合直前で24ポンド(約11キロ)も重かったのだから、このウェイトでLH級のときの動きをしていれば、後半かなりバテていたかもしれない。

ジョーンズの作戦の背後に歴史があった。すなわち、ビリー・コーンが12回までポイントをリード(7−4−1,7−5、6−6)しながら、13回に打ち合いに出てジョー・ルイスにKO負けした教訓。あるいは、マイケル・スピンクスがラリー・ホームズのパンチを空転させ続けた「のれんに腕押し作戦」など。ジョーンズとアルトン・マーカーソン・トレーナーは「勝って歴史を作ること」だけを考えた作戦の練ったのだろう。

見る側はつねにないものねだりの傾向があるから、あそこまでワンサイドになったのなら、倒しに行くこともトライしてほしかった、と思わないでもない。

今後のジョーンズの進路は?
ドン・キングはジョーンズ、クリス・バード戦の成立に食指をのばしているようだが、多分、ジョーンズは今回のヘビー級挑戦を「1試合だけの冒険」にするだろう、と思う。ジョーンズの慎重な性格から推測して、2度冒険はしないだろう。

マイケル・スピンクスがラリー・ホームズに挑戦する際、雇ったフィジカル・トレーナー、マッキー・シルストーンが今回、ジョーンズについていたが、数ヶ月間で体脂肪率を上げずスピードを落とさずに体重をアップさせるプログラムを組んだのだろう。それが有効だったことを認めざるを得ない。

ルイスが226ポンドに落としたことが是だったのか非だったのか?
試合直前、ジョーンズは193ポンドから199ポンドに上がっていたのに、ルイスは226から224に落ちており、両者の実際の体重差はさらに縮まっていた。ルイスが230ポンドを超える体重でもっと元気な戦いぶりを見せていれば、もっと肉迫するシーンがあったのではあるまいか。これもないものねだりだが。

私は高校時代、柔道をしていて結構強かった。私の柔道は一本背負いだけ。体の大きな相手にさっともぐりこみ、抱え上げる。相手の体を浮かしてしまえば、あとは自分が前にかがむ回転の勢いで投げられる。
ところが、相手との体重差が20キロを超えるか、相手が体が大きい割りに機敏なら、一本背負いはかからず押しつぶされた。昨日、解説をしながら、ふと自分がルイスと戦っているような気分になった。
私がジョーンズなら、10回か11回に一度、倒しに行っていただろうが。

昨日の試合は結果的、技術的にはやや凡戦に終わったかもしれないが、歴史的、心情的にはグレート・ファイトで大いに楽しめた。マイケル・スピンクスがラリー・ホームズに勝ったときも私は解説者だったが、歴史がこのようにして塗り替えられるのか、と感慨深く観戦した。


RJクラブ会報は今日と明日で発送し終えます

私が急に「ボクシング珍談奇談・日本編」の連載を始めることになり、その原稿入れが1日送れたため会報は今日の昼刷り上り。

今日と明日で発送し切ります。
(3−3−03)


WBA世界ヘビー級タイトルマッチ展望

WBA世界ヘビー級タイトルマッチ展望

王者 ジョン・ルイス 38-4-1,27KO前
12R
挑戦者 A・C LH級王者ロイ・ジョーンズJr.47-1,38KO前

これこそ予断を許さない一戦。ジョーンズが体格差に威圧されず、持ち前のスピードを駆使すれば、充分勝てる。問題はジョーンズの体格差、体重差に対する意識過剰だろう。ルイスは悪い選手ではないが、決して一流の技量の持ち主ではない。技量の点では、ジョーンズがはるかに優る。

ルイスには一発で相手を沈めるパンチの切れがない。ジョーンズはよほどのことがないかぎり、ルイスのスローなパンチをもろにもらうことはないだろう。その「よほどのこと」というのは、相手に触らせまいと過度に動いた場合のスタミナ切れのケース、あるいはルイスがラフ戦法でジョーンズをレスリングまがいの反則で動きを鈍らせるケースだろう。しかし、それが起こる可能性は低いと見る。

ジョーンズは勝つこと第一の安全ファイトをする可能性もある。すなわち、相手とのもみ合いを避け、足を使い、ジャブでいなし、アウトボクシングに徹する場合だ。この場合、ルイスは空回りをすることになるが、ジョーンズは勝ちさえすれば歴史を作れるのだから、試合展開次第でこの作戦をとるかもしれない。

私は昭和37年の前溝隆男、トニー・マルティネス戦を思い出す。前溝は小柄なミドル級、マルティネスは大柄なL・ヘビー級だった。体重差は10ポンド。2回に前溝はマルティネスの左ロングフックで一度はのびたが、カウント9で立ち上がり、またカウント4のダウンを食った。体格差は歴然で、前溝がかわいそうに思えるほどのミスマッチに見えた。だが、3回、前溝の強烈な右ストレートがアゴのピンポイントに炸裂すると、大柄なマルティネスが倒れ、逆転KOが生まれた。当時、「いかに体が大きくても、ピンポイントにパンチが入れば倒れるのだな」と驚いた。

私が明日の試合に期待するのは、これと同様、ロイ・ジョーンズのKO勝ちである。ジョーンズが「勝ちさえすればいい」という安易な気持ちを捨て、「勝つからには倒してやろう」という意欲を持つならば、ジョーンズのスピード、動体視力をもってすれば、ルイスの右と相打ちすれば、ジョーンズのカウンターの威力は倍加するだろう。ジョーンズのKOあるいはTKO勝ちも可能性のひとつに入れたい。

明日こそロイ・ジョーンズのプロボクサーとしての真骨頂が試されるときであり、その試合ぶりに是非注目したい。

明日3月2日(日)12時よりWOWOWにて生中継。
(見るべし)の3乗!


「珍談奇談」読後感想アンケート(追加)

1.どの話が一番おもしろかったですか?
母親が息子(トニー・ウィルソン)に代わって、相手の選手に殴りかかった試合です。それもハイヒールで殴って出血させた・・・。勝った息子としてはとーっても恥ずかしかったでしょうね。母親の子を守る本能(?)が見られた試合でしたね。

2.どのジョークが一番おもしろかったですか?
拡散と角さん(正しくは格さんで誤植)をかけた水戸黄門シリーズ。
メヒカリなだけに目光(面白くて地名も覚えられ一石二鳥)。

3.その他、感想があれば
この本は硬そうに見える見掛けと違って、ボクシング通でない人にも楽しめ、歴史の勉強もできて、ジョークのネタも増える・・・中身の濃い本ですね。ちなみに「蘭の男」ジョルジュ・カルパンティエの試合を見たかったです。とてもボクサーと思えない優雅な顔立ちと名前!
(荻野奈緒美アナウンサー)

WOWOWおよびジャパン・ヴィステックのスタッフの皆さん、もう読み終わりましたか?
アンケートの葉書待っています。

ちなみに、この「ボクシング珍談奇談」はおかげさまで売れ行き好調で、書泉ブックマートでは1ヵ月ちょっとで70冊出ました。

リング・ジャパンの通販以外の取り扱い店は:
御茶ノ水の「書泉ブックマート」 03−3294−0011
埼玉の「書泉ブックドーム」 048−255−0021
渋谷の「センタースポーツ」 03−3400−3305

ジョン・ルイス、ロイ・ジョーンズ戦の前に、
「珍談奇談」の
2章7節「史上初の三冠王は40歳」99頁
6章2節「ああ、倒しにいかなければ勝てたのに」399頁
11章10節「昼はバスケ、夜はボクシングでやはり調子が悪かった」787頁
などを読んでおくと、この歴史的一戦の観戦になお興味がわく、と思う。
(2−28−03)